2014年7月7日月曜日

交通事故の慰謝料(交通事故の損害各論)

司法書士の岡川です。

交通事故の被害者にとっては、支払った治療費交通費といった金銭的な損害(財産的損害)だけを賠償してもらえれば気が済む、というものではありません。
単純に「停めていた車にぶつけられた」ような物損事故ならまだしも、怪我をさせられたような場合(人身事故)は、肉体的にも精神的にも苦痛を与えられているからです。
この非財産的損害に対する賠償が「慰謝料」です。

交通事故における慰謝料には、次の3種類あります。
  • 傷害慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料
いずれも性質としては苦痛に対する賠償であることに変わりはないのですが、「どの苦痛に対する賠償か」が違います。
そして、「どの苦痛に対する賠償か」に応じて算定方法が異なります。

どれも文字通りの意味なのですが、ざっと紹介します。

まず、傷害慰謝料は、傷害(怪我等)に対する慰謝料です。
これは、怪我の治療期間に応じて算定するので、通院慰謝料と入院慰謝料に分けることもでき、併せて「入通院慰謝料」ということもあります。
死亡したり、重い障害を負った場合でなくても、怪我をしただけでも、慰謝料の対象になるのです。

それから、後遺障害慰謝料。
これは、後遺障害に対する慰謝料で、治療期間が終わった後にも後遺障害が残った場合に支払われることになります。

最後に、死亡慰謝料。
被害者の死亡に対する慰謝料で、死亡と同時に発生すると観念されており、実際には遺族(相続人)が請求権を相続して請求することになります。
また、近親者を亡くした親族固有の慰謝料というものも存在します(→参照「交通事故の損害賠償は誰が誰に請求するのか」)。


交通事故(特に人身事故)の被害者は、多かれ少なかれ苦痛を感じており、それも法的に損害として評価されます。
自動車保険でも、(どこまで払うか、という程度問題はあるにせよ)補償対象に含まれています。

もし「治療費だけでチャラにする」とか「車の修理代だけで支払ってくれたらいい」というふうに被害者側から積極的に宥恕してくれるなら、それはそれで構いませんが、加害者の側が「治療費を出したら文句ないだろう」という認識・態度で話をすると、揉める原因となりかねません。

また、慰謝料といっても別に無制限に認められるものではありませんので、被害者の側も判例等に照らして妥当な範囲の額を請求しなければ、それはそれで揉める原因です。


ちなみに、交通事故以外の不法行為でも、慰謝料というのは発生します。
皆さん、加害者にならないよう安全運転を心掛けましょう。

では、今日はこの辺で。


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