例のあの事件について、真犯人が逮捕されました。
痴漢:国税局調査官を逮捕 女性になりすまし「痴漢して」(毎日新聞)
インターネットの掲示板で「痴漢してくれる人を望む」などの書き込みを見てJR和歌山線の電車内で痴漢をした男が逮捕された事件で、和歌山県警和歌山東署は9日、女性になりすまして他人に痴漢行為をさせたとして、大阪国税局海南税務署(同県海南市)の上席調査官、伊勢川洋二容疑者(49)=同県紀の川市粉河=を県迷惑防止条例違反(卑わいな行為)容疑で逮捕した。
容疑者自体は、既に見つかっていたのですが、今回、容疑が固まって逮捕という運びになりました。
逮捕容疑は、迷惑防止条例違反です。
まあ、穏当なところですね。
痴漢は、「痴漢罪」というものが存在するわけではなく、刑法上、強制わいせつ罪や迷惑防止条例違反に問われるのが一般的です。
そのうち、下着の中に手を入れるなど、悪質なものは強制わいせつ罪で立件されますが、服の上から触った程度なら迷惑防止条例違反が適用されることが多いようです。
今回の事件でも、捜査段階では、強制わいせつ罪も視野に入れていたようですが、最終的には迷惑防止条例違反で立件されました。
つまり「強制わいせつ」に至らない程度の行為だったのでしょう。
強制わいせつ罪については、以前の記事で検討した通り、「単なる嫌がらせ目的の真犯人に強制わいせつ罪が成立するのか」という、刑法学的になかなか興味深い論点があったのですが、そういう議論には踏み込まないことになりそうです。
迷惑防止条例違反については、最初の記事の段階から考慮の対象から外しています。
強制わいせつ罪に比べて法定刑は軽いですが、その代わりかなり広範に成立する犯罪なので、あまり深く考察する対象でもなかったからです
なんなら、相手に触れなくても成立します(もちろん、傾向犯でもありません)。
要するに、いろいろと話題性がありましたが、結論的には「結構簡単に成立する犯罪だけで立件されました。以上。」ということです。
今回の事件で、この手のサイトには「なりすまし」が存在するということが広く知れ渡りました。
今のところ、直接痴漢行為に及んだ男の処分は保留のままになっていますが、今後、同じようになりすましに引っかかって痴漢をする人が出てきたら、「なりすましとは知らなかった」では済まされなくなるでしょう。
痴漢ごっこは知り合い同士プライベートな空間でやってくださいね。
では、今日はこの辺で。
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