2013年10月9日水曜日

登記識別情報の話

司法書士の岡川です。

今日はまた登記の基礎知識シリーズです。
前回の権利書の話で、昔ながらの権利書(登記済証)は、今では発行されることがなくなっている、という話をしました。
これは、登記手続きがオンライン化されたためで、昔ながらの紙の権利書というのは、制度上、何かと不便になったからです。
そして、今では、権利者に「登記識別情報」という12桁の記号(数字とアルファベット)が発行されます。
これが登記済証に代わって、権利者の本人確認の資料となります。

登記識別情報は、新しく権利者となった人にのみ通知されるパスワードのようなものです。
つまり、権利者がさらに不動産を売る場合は、そのパスワードを登記所に提供することで、「パスワードを知っている私が権利者だ」と証明するわけです。

権利者であることを証明する物が、物理的な書類である「登記済証」という紙の書類から、「登記識別情報」というデータに置き換わったわけですね。
ハイテクですね。

いや、実際はかなりローテクな手続きが続いてるんですけど。


一般的にこの登記識別情報は、「登記識別情報通知」という緑色の特殊な紙でできた通知書で通知してもらいます。
この紙が、今では俗に「権利書」と言われています。
ただ、この紙自体は昔の登記済証のように意味がなくて、重要なのはそこに書かれた12ケタの記号です。
なので、登記するときには、登記所にその記号さえ提出すれば良いので、記号を書いたメモ書きであっても構いません。

書類ではなくて、そこに書かれた文字列が権利者であることを証明するということは、その記号を他人に知られることは、昔ながらの権利書(登記済証)を盗まれたのと同じことを意味します。
そのため、誰にも見られないように、登記識別情報通知には、登記識別情報の上に目隠しの保護シールが貼られています。
それが剥がれていると、誰かに情報を見られた可能性がある、ということになります。

基本的に、登記識別情報は、次に登記をするとき以外は使うことがなく、権利者自身も知っておく必要がないものです。
保護シールは一度剥がすと貼り直せませんので、登記識別情報通知を受け取った場合、シールは絶対に剥がさず、そのまま誰にも見られないように保管しておきましょう。

もちろん、この登記識別情報がわからなくなった場合(シールを剥がさず保管していたが、間違って燃やしてしまった場合など)でも、登記をする方法はありますので、その場合も司法書士にご相談ください。

では、今日はこの辺で。

登記の基礎知識シリーズ
登記とは何か
登記はどこでするのか
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