司法書士の岡川です。
前回、法律の条文に出てくる「又は」の使い方を説明したので、ついでなので「及び」と「並びに」の使い方も説明しておきましょう。
2つの事項があって、その両方を対象としたい場合は、
A及びB
と書きます。
事項が3つ上ある場合は、「A及びB及びC」ではなく、
A、B及びC
のように、最後の1回だけ「及び」を使い、それ以外は、「、」(読点)で区切ります。
「又は」の場合と同様、ABCが動詞である場合は、
Aし、Bし、及びCする
のように書きます。
また、「AとB」という事項と、Cという事項を並列にしたい場合は、
A及びB並びにC
と書きます。これは、「『AとB』とC」という意味です。
応用として、「『AとB』と『CとD』」という意味にしたければ、「A及びB並びにC及びD」となります。
具体例を民法から引っ張ってきましょう。
民法729条は、「養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。」と規定しています。
「及び」と「並びに」がたくさん出てきて、パッと見ややこしくなっていますが、条文の読み方のルールさえわかっていれば、難しいことはありません。
「養子及びその配偶者」並びに「養子の直系卑属及びその配偶者」
と
「養親及びその血族」
との親族関係は、離縁によって終了する。
というふうに読めるわけです。
さらに、階層が3段階以上となれば、「及び」「並びに」の上位の語が存在しませんので、後は全部「並びに」を使います。
つまり、「『(AとB)とC』とD」を表したければ、
A及びB並びにC並びにD
というふうになります。
「並びに」が2回出てくるのは、階層が3段階以上であるからであって、「AとB」とCとDが並列になっているわけれはありません。
「AとB」とCとDが並列なら、
A及びB、C並びにD
となります。
ところで、一般的な日本語では、AとBのように事項が2つしかない場合であっても、
A並びにB
とか
A若しくはB
のようにいうことはあります。
しかし、法律の条文ではこれらの用語には優先順位があり、「又は」が使われていないところに「若しくは」は使えませんし、「及び」が使われていないところに「並びに」は使えません。
したがって、パッと見で
A並びにB
という文言が目に入ったら、必ずその前後を見て「A1及びA2」とか「B1及びB2」というふうになっていないかを探さなければいけません。
法律の条文は、ルールを知らないと正確に読めませんが、逆に、ルールさえ知っていれば、複雑な条文もある程度は内容を把握することが可能なのです。
まあ、ルールを知っていても、条文が複雑すぎるものを読むのは非常に苦労しますが。
では、今日はこの辺で。
2013年12月6日金曜日
特定秘密保護法案におけるテロリズムの定義
司法書士の岡川です。
国会では、特定秘密保護法案の審議が大詰めになってきました。
同法案の問題は、あまりにも政治的すぎるので、真正面からこのブログで取り上げることはありませんでしたし、今後もおそらくないと思うのですが、少し本論から外れたところで、法解釈の題材として面白いことがあったので、取り上げてみたいと思います。
毎日新聞で、こういう社説がありました
社説:秘密保護法案 参院審議を問う テロの定義
また、同じ趣旨で、福島瑞穂議員がこんなことを言っています。
特定秘密保護法案 徹底批判(佐藤優×福島みずほ)その1
本当にそんな解釈になるのでしょうか。
同法案のテロリズムの定義は、
です。
これを、毎日新聞の論説委員や、民主党議員、福島議員は、
1.政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要
2.社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷
3.重要な施設その他の物を破壊するための活動
の3つであると読める…というふうに述べています。
そのうえで、福島議員は、「家族に家事の分担を『強要』することも、法解釈上はテロリズムにできる」と主張しています。
法案の是非は置いておいて、もう少し常識的な議論をできないものか…。
家事の強要がテロになるわけがないのは常識で考えたらわかることです。
仮にそんな条文になっているとしても、確実に裁判所ではそんなものが含まれないよう解釈されます。
・・・が、それでは納得しないのでしょうから、さらにいうならば、そもそも条文の文言上、上記のような解釈にはなりません。
法解釈の基本的な技法から解説しましょう。
まず選択的な2つの事項(AかB)を並べる場合、条文では、
A又はB
と書きます。
Bの中に、さらに選択的な2つの事項(B1かB2)が含まれている場合、条文では、
A又はB1若しくはB2
と書きます。
この場合、「『A』か『B1かB2のどちらか』のどちらか」というふう意味です。
そして、事項が3つ以上ある場合は、
A、B又はC
というふうに書きます。
これは、英語の「A, B or C」と同じで、「A又はB又はC」のように、「又は」を連続して使うことはありません。
「又は」は最後の一回のみで、それまでに並列するものは、「、」(読点)で区切ります。
さらに細かいことをいえば、AやBやCが動詞の場合、
Aし、Bし、又はCする
といった書き方をします。
さて、この「法学部では1年生の最初に習う基礎中の基礎知識」を前提に、もう一度特定秘密保護法案のテロリズムの定義に目を通してみると、
国家・・・強要し、又は社会に・・・殺傷し、又は重要な・・・活動
となっています。
もしこれが「3つ並列」であるならば、「又は」が2回出てくるわけがなく、
国家・・・強要し、社会に・・・殺傷し、又は重要な・・・活動
となっていなければいけません(最後の一回を除き、「、」で区切る)。
つまり、「又は」が2回でてきている以上、条文上「3つ並列」とは読めないわけです。
そして、「強要し、」の後に「又は」があるということは、「強要し」と対になる「動詞」が「ひとつだけ」ある、ということが読み取れます。
そこで、読み進めると、「又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、」とあります。
ここで、「殺傷し」は、その後に「又は」があるので、最後の「破壊する」と対になっていることがわかります。
そうすると、「3つ並列」でない以上、「強要し」と「殺傷し」が対でないことがこの時点でわかります。
したがって、残る「与える」が「強要し」と対になる動詞であることがわかります。
となれば、
〔「『政治上・・・強要し、又は社会に・・・与える』→目的」で人を殺傷し、又は重要な・・・破壊する〕→ための活動
と読むことになります。
これは森大臣が示した解釈に一致しますが、条文の文言上、正にその通りにしか読めません。
つまり、テロリズムは「殺傷」か「破壊」のどちらかでなければ定義に含まれないことになります。
ただ単に強要するだけでは、テロリズムの定義に該当しません。
毎日新聞の社説に出てきた「民主党議員」が誰なのかはわかりませんが、東大法学部卒の弁護士である福島議員が、(法学部1年生でも知っている)基本的な解釈技法を知らないわけがなく、あえて曲解して極論を展開しているとしか考えられません。
はっきりいって、「日本語を知らないアメリカ人が読んだら、こう読む可能性がある!」というのと同レベルの難癖です。
もちろん条文を正しく読んだ場合であっても、テロリズムの定義が不当であるという意見はあり得るでしょう。
その辺は、十分議論していただきたいところです(まあ、審議は打ち切られましたが・・・)。
しかし、「わかっていながらあえて曲解する」という非建設的な議論はやめるべきです。
こういうのを「藁人形論法」といいます。
毎日新聞社説は、「法律は、条文が全てだ。」と断言しています。
そもそも、その認識からしてどうかと思うのですが、100歩(1万歩くらいでも)譲って、条文が全てだとしましょう。
そこまでいうなら、条文の読み方のルールに沿って読むべきです。
では、今日はこの辺で。
国会では、特定秘密保護法案の審議が大詰めになってきました。
同法案の問題は、あまりにも政治的すぎるので、真正面からこのブログで取り上げることはありませんでしたし、今後もおそらくないと思うのですが、少し本論から外れたところで、法解釈の題材として面白いことがあったので、取り上げてみたいと思います。
毎日新聞で、こういう社説がありました
社説:秘密保護法案 参院審議を問う テロの定義
法案は12条でテロを定義した。全文を紹介する。
「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要し、又(また)は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう」だ。
テロ活動の防止は、防衛、外交、スパイ活動の防止と並ぶ特定秘密の対象で、法案の核心部分だ。本来、法案の前段でしっかり定義すべきだが、なぜか半ばの章に条文を忍ばせている。それはおくとしても、規定のあいまいさが問題だ。
二つの「又は」で分けられた文章を分解すると、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」「社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷」「重要な施設その他の物を破壊するための活動」の三つがテロに当たると読める。衆院国家安全保障特別委員会で、民主党議員が指摘し、最初の主義主張の強要をテロとすることは拡大解釈だと疑問を投げかけた。
これに対する森雅子特定秘密保護法案担当相の答弁は、「目的が二つ挙げてある」というものだった。つまり、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し」「又は社会に不安若しくは恐怖を与える」がともに「目的で」にかかるというのだ。
ならば、そう分かるように条文を書き改めるべきだ。法律は、条文が全てだ。読み方によって解釈が分かれる余地を残せば、恣意(しい)的な運用を招く。だが、委員会では、それ以上の追及はなかった。
また、同じ趣旨で、福島瑞穂議員がこんなことを言っています。
特定秘密保護法案 徹底批判(佐藤優×福島みずほ)その1
主義主張に基づいて他人になにかを強要するのがテロリズムなら、なんでもテロリズムになります。官邸前の原発再稼働反対行動どころか、男女平等だからと「主張」して家族に家事の分担を「強要」することも、法解釈上はテロリズムにできるのです。
本当にそんな解釈になるのでしょうか。
同法案のテロリズムの定義は、
政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動
です。
これを、毎日新聞の論説委員や、民主党議員、福島議員は、
1.政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要
2.社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷
3.重要な施設その他の物を破壊するための活動
の3つであると読める…というふうに述べています。
そのうえで、福島議員は、「家族に家事の分担を『強要』することも、法解釈上はテロリズムにできる」と主張しています。
法案の是非は置いておいて、もう少し常識的な議論をできないものか…。
家事の強要がテロになるわけがないのは常識で考えたらわかることです。
仮にそんな条文になっているとしても、確実に裁判所ではそんなものが含まれないよう解釈されます。
・・・が、それでは納得しないのでしょうから、さらにいうならば、そもそも条文の文言上、上記のような解釈にはなりません。
法解釈の基本的な技法から解説しましょう。
まず選択的な2つの事項(AかB)を並べる場合、条文では、
A又はB
と書きます。
Bの中に、さらに選択的な2つの事項(B1かB2)が含まれている場合、条文では、
A又はB1若しくはB2
と書きます。
この場合、「『A』か『B1かB2のどちらか』のどちらか」というふう意味です。
そして、事項が3つ以上ある場合は、
A、B又はC
というふうに書きます。
これは、英語の「A, B or C」と同じで、「A又はB又はC」のように、「又は」を連続して使うことはありません。
「又は」は最後の一回のみで、それまでに並列するものは、「、」(読点)で区切ります。
さらに細かいことをいえば、AやBやCが動詞の場合、
Aし、Bし、又はCする
といった書き方をします。
さて、この「法学部では1年生の最初に習う基礎中の基礎知識」を前提に、もう一度特定秘密保護法案のテロリズムの定義に目を通してみると、
国家・・・強要し、又は社会に・・・殺傷し、又は重要な・・・活動
となっています。
もしこれが「3つ並列」であるならば、「又は」が2回出てくるわけがなく、
国家・・・強要し、社会に・・・殺傷し、又は重要な・・・活動
となっていなければいけません(最後の一回を除き、「、」で区切る)。
つまり、「又は」が2回でてきている以上、条文上「3つ並列」とは読めないわけです。
そして、「強要し、」の後に「又は」があるということは、「強要し」と対になる「動詞」が「ひとつだけ」ある、ということが読み取れます。
そこで、読み進めると、「又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、」とあります。
ここで、「殺傷し」は、その後に「又は」があるので、最後の「破壊する」と対になっていることがわかります。
そうすると、「3つ並列」でない以上、「強要し」と「殺傷し」が対でないことがこの時点でわかります。
したがって、残る「与える」が「強要し」と対になる動詞であることがわかります。
となれば、
〔「『政治上・・・強要し、又は社会に・・・与える』→目的」で人を殺傷し、又は重要な・・・破壊する〕→ための活動
と読むことになります。
これは森大臣が示した解釈に一致しますが、条文の文言上、正にその通りにしか読めません。
つまり、テロリズムは「殺傷」か「破壊」のどちらかでなければ定義に含まれないことになります。
ただ単に強要するだけでは、テロリズムの定義に該当しません。
毎日新聞の社説に出てきた「民主党議員」が誰なのかはわかりませんが、東大法学部卒の弁護士である福島議員が、(法学部1年生でも知っている)基本的な解釈技法を知らないわけがなく、あえて曲解して極論を展開しているとしか考えられません。
はっきりいって、「日本語を知らないアメリカ人が読んだら、こう読む可能性がある!」というのと同レベルの難癖です。
もちろん条文を正しく読んだ場合であっても、テロリズムの定義が不当であるという意見はあり得るでしょう。
その辺は、十分議論していただきたいところです(まあ、審議は打ち切られましたが・・・)。
しかし、「わかっていながらあえて曲解する」という非建設的な議論はやめるべきです。
こういうのを「藁人形論法」といいます。
毎日新聞社説は、「法律は、条文が全てだ。」と断言しています。
そもそも、その認識からしてどうかと思うのですが、100歩(1万歩くらいでも)譲って、条文が全てだとしましょう。
そこまでいうなら、条文の読み方のルールに沿って読むべきです。
では、今日はこの辺で。
2013年12月5日木曜日
民法改正(非嫡出子の相続分規定削除)について
司法書士の岡川です。
以前話題になった、非嫡出子(婚外子)の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定が、最高裁で違憲とされた件で、当該規定を削除する民法改正が成立しました。
法案を見ると、 民法900条の「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし」という部分が削除されるようです。
そして、改正法は「公布の日から施行」とあるので、近日中に施行されることになります。
問題は、改正後の規定はいつから適用されるかという点ですが、「平成25年9月5日以後に開始した相続について適用する」とあります。
今年の9月4日以前に亡くなった人の相続に関しては、旧規定が適用されるということです。
ちなみに、施行前の相続についても適用があるということで、「法の不遡及の原則」の例外ということになりますが、刑法と違って、民法はこの例外も許されている・・・という話は、以前書きましたね(→参照「遡及処罰の禁止」)。
それはさておき、最高裁決定は、平成13年7月以降の相続について、この規定が違憲となったと指摘しています。
つまり、平成13年7月1日~平成25年9月4日までに開始した相続については、改正後の民法の規定は適用されないけども、まだ未確定の事件について裁判で争えば、裁判所は、ほぼ確実に当該規定は無効であることを前提に判断しますから、事実上旧規定の適用は排除されることになります。
まあ、最高裁判例に真っ向から反対するアグレッシブな下級裁判所裁判官がいないとも限りませんので、ゼロとはいえませんが・・・。
そして、登記・供託実務では、最高裁決定が出た日に法務省から法務局宛に事務連絡が出ており、平成13年7月1日以降に開始した相続で婚外子がいる場合の法定相続分による相続登記については、申請があったら「法務省に照会する」という取扱いになっているのですが、照会したあと、どういう処理がされるんでしょうね。
正式な通達は追って出されるということだったんですが、まだ通達は出ていないようです。
なお、既に旧規定に基づいて遺産分割協議が確定していたようなものについては、基本的にやり直しは認められないので、ご注意ください。
では、今日はこの辺で。
以前話題になった、非嫡出子(婚外子)の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定が、最高裁で違憲とされた件で、当該規定を削除する民法改正が成立しました。
法案を見ると、 民法900条の「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし」という部分が削除されるようです。
そして、改正法は「公布の日から施行」とあるので、近日中に施行されることになります。
問題は、改正後の規定はいつから適用されるかという点ですが、「平成25年9月5日以後に開始した相続について適用する」とあります。
今年の9月4日以前に亡くなった人の相続に関しては、旧規定が適用されるということです。
ちなみに、施行前の相続についても適用があるということで、「法の不遡及の原則」の例外ということになりますが、刑法と違って、民法はこの例外も許されている・・・という話は、以前書きましたね(→参照「遡及処罰の禁止」)。
それはさておき、最高裁決定は、平成13年7月以降の相続について、この規定が違憲となったと指摘しています。
つまり、平成13年7月1日~平成25年9月4日までに開始した相続については、改正後の民法の規定は適用されないけども、まだ未確定の事件について裁判で争えば、裁判所は、ほぼ確実に当該規定は無効であることを前提に判断しますから、事実上旧規定の適用は排除されることになります。
まあ、最高裁判例に真っ向から反対するアグレッシブな下級裁判所裁判官がいないとも限りませんので、ゼロとはいえませんが・・・。
そして、登記・供託実務では、最高裁決定が出た日に法務省から法務局宛に事務連絡が出ており、平成13年7月1日以降に開始した相続で婚外子がいる場合の法定相続分による相続登記については、申請があったら「法務省に照会する」という取扱いになっているのですが、照会したあと、どういう処理がされるんでしょうね。
正式な通達は追って出されるということだったんですが、まだ通達は出ていないようです。
なお、既に旧規定に基づいて遺産分割協議が確定していたようなものについては、基本的にやり直しは認められないので、ご注意ください。
では、今日はこの辺で。
2013年12月2日月曜日
「後見人」とは
司法書士の岡川です。
「後見人」という言葉は、さすがに「日常生活」ではあまり使わないかもしれませんが、一般的な日本語としてもよく知られています。
幼少の人や未熟な人を背後で支える実力者といった意味で使われますね。
歴史上の話題や、政治家なんかの話であればそれでいいのですが、法的な制度としての「後見人」というのは、少し意味が異なります。
法的な意味での「後見人」は、必ずしも、 一族の長でもなければ、地元の名士でもないし、大物政治家でもありません。
現在の日本の法律で「後見人」とされるのは、民法に規定された成年後見人と未成年後見人、「任意後見契約に関する法律」に規定された任意後見人を指します。
これらは、判断能力が低下した人や未成年者につく支援者(代理人)であって、判断能力がしっかりした大人に対して、法的な意味での後見人がつくことはありません。
「成年後見制度についてよくわかっていないけど、何らかの支援の利用を考えている」という方は、「判断能力の低下」というのをひとつのポイントとして考えるとよいと思います。
すなわち、支援対象者(自分や自分の家族)が、現時点で判断能力の低下がある場合、法定後見制度の利用を検討するとよいでしょう。
また、今はまだ判断能力もしっかりしているけど、将来、判断能力が低下した場合に備えておきたいという場合は、現時点での任意後見契約の利用を検討することになります。
他方で、「息子は既に成人しているんだけど、頼りないから、誰かにその補佐役をしてほしい」というような場合、これは、法的な意味での後見の対象にはなりません。
もちろん、個人的に何らかの契約をして、財産管理や契約手続等の包括的なサポートを受けるということは可能ですが、それは個別の契約の話になります。
それから、当然ながら、法定後見も任意後見も、本人が生存中の支援をする制度です。
死後のことを頼みたいという場合は、依頼する内容によって、色んな制度を使い分ける必要があります。
死後事務委任契約を締結したり、遺言執行者を指定したり、あるいは、やや特殊な場面ですが、幼い子供を残して亡くなる可能性があるときは遺言によって未成年後見人を指定することも可能です(民法839条)。
遺言による未成年後見人の指定というのは、法的な意味から外れた「後見人」のイメージに近いかもしれませんね。
では、今日はこの辺で。
(成年後見制度については、「成年後見制度入門」以下のシリーズ記事参照)
「後見人」という言葉は、さすがに「日常生活」ではあまり使わないかもしれませんが、一般的な日本語としてもよく知られています。
幼少の人や未熟な人を背後で支える実力者といった意味で使われますね。
歴史上の話題や、政治家なんかの話であればそれでいいのですが、法的な制度としての「後見人」というのは、少し意味が異なります。
法的な意味での「後見人」は、必ずしも、 一族の長でもなければ、地元の名士でもないし、大物政治家でもありません。
現在の日本の法律で「後見人」とされるのは、民法に規定された成年後見人と未成年後見人、「任意後見契約に関する法律」に規定された任意後見人を指します。
これらは、判断能力が低下した人や未成年者につく支援者(代理人)であって、判断能力がしっかりした大人に対して、法的な意味での後見人がつくことはありません。
「成年後見制度についてよくわかっていないけど、何らかの支援の利用を考えている」という方は、「判断能力の低下」というのをひとつのポイントとして考えるとよいと思います。
すなわち、支援対象者(自分や自分の家族)が、現時点で判断能力の低下がある場合、法定後見制度の利用を検討するとよいでしょう。
また、今はまだ判断能力もしっかりしているけど、将来、判断能力が低下した場合に備えておきたいという場合は、現時点での任意後見契約の利用を検討することになります。
他方で、「息子は既に成人しているんだけど、頼りないから、誰かにその補佐役をしてほしい」というような場合、これは、法的な意味での後見の対象にはなりません。
もちろん、個人的に何らかの契約をして、財産管理や契約手続等の包括的なサポートを受けるということは可能ですが、それは個別の契約の話になります。
それから、当然ながら、法定後見も任意後見も、本人が生存中の支援をする制度です。
死後のことを頼みたいという場合は、依頼する内容によって、色んな制度を使い分ける必要があります。
死後事務委任契約を締結したり、遺言執行者を指定したり、あるいは、やや特殊な場面ですが、幼い子供を残して亡くなる可能性があるときは遺言によって未成年後見人を指定することも可能です(民法839条)。
遺言による未成年後見人の指定というのは、法的な意味から外れた「後見人」のイメージに近いかもしれませんね。
では、今日はこの辺で。
(成年後見制度については、「成年後見制度入門」以下のシリーズ記事参照)
2013年12月1日日曜日
司法書士による犯罪被害者支援
司法書士の岡川です。
平成16年12月1日、犯罪被害者等基本法が成立しました(12月8日公布、翌年の4月1日に施行)。
そこで、11月25日から12月1日までの1週間が、内閣府により「犯罪被害者週間」と定められています。
今日は、その成立日であり、犯罪被害者週間の最終日です。
司法書士は、法務局における手続き(登記や供託)や、裁判所提出書類作成、簡易裁判所による民事訴訟手続きなど、基本的には、民事事件に関する司法手続きに関与する資格です。
ただし、「裁判所に提出する書類」というのは、別に民事訴訟手続上の書類に限定されていませんし、検察庁に提出する書類作成も司法書士の独占業務のひとつとして規定されています(簡裁訴訟代理は、民事限定ですが)。
これらは、簡裁訴訟代理業務などより歴史の古い伝統的な業務です。
具体的には、告訴状や告発状の作成、検察審査会への審査申立書作成、新しい制度としては刑事訴訟における損害賠償命令申立書作成などが想定されます。
つまり、あまり主要な業務ではありませんが、刑事事件への関与も、全くの専門外というわけではありません。
もっといえば、犯罪の被害回復という意味では、刑事手続ではなく民事事件として扱われるものですので、これは完全に司法書士の業務(本人訴訟支援や関西訴訟代理)となります。
もちろん、犯罪の嫌疑をかけられた人(被疑者や被告人)の側に付いてその人権を擁護する「弁護人」の立場につくことは、完全に弁護士のみに認められた業務です。
その一方で、被害者の側について、社会に潜んでいる犯罪被害を司法手続に乗せたり、犯罪被害者の権利擁護を図ることは、日本の司法制度の一翼を担う司法書士に課せられた責務でもあります。
これが司法書士の責務である根拠としては、上記のような業務が司法書士の独占業務として規定されている司法書士法のほか、総合法律支援法において「弁護士及び弁護士法人並びに司法書士その他の隣接法律専門職者」に「総合法律支援の実施及び体制の整備のために必要な協力をする」努力義務が課せられています。
というわけで、大阪司法書士会でも犯罪被害者支援対策に取り組んでいて、今日(平成25年12月1日)は、犯罪被害者週間最終日に合わせて、犯罪被害を対象とした無料電話相談会をやっています(今更ですが、告知)。
犯罪被害に遭われた方、その危険がある方、その他犯罪被害について相談がある方は、06-6941-1000までお電話どうぞ(このダイヤルは本日午後6時までです)。(終了しました)
では、今日はこの辺で。
平成16年12月1日、犯罪被害者等基本法が成立しました(12月8日公布、翌年の4月1日に施行)。
そこで、11月25日から12月1日までの1週間が、内閣府により「犯罪被害者週間」と定められています。
今日は、その成立日であり、犯罪被害者週間の最終日です。
司法書士は、法務局における手続き(登記や供託)や、裁判所提出書類作成、簡易裁判所による民事訴訟手続きなど、基本的には、民事事件に関する司法手続きに関与する資格です。
ただし、「裁判所に提出する書類」というのは、別に民事訴訟手続上の書類に限定されていませんし、検察庁に提出する書類作成も司法書士の独占業務のひとつとして規定されています(簡裁訴訟代理は、民事限定ですが)。
これらは、簡裁訴訟代理業務などより歴史の古い伝統的な業務です。
具体的には、告訴状や告発状の作成、検察審査会への審査申立書作成、新しい制度としては刑事訴訟における損害賠償命令申立書作成などが想定されます。
つまり、あまり主要な業務ではありませんが、刑事事件への関与も、全くの専門外というわけではありません。
もっといえば、犯罪の被害回復という意味では、刑事手続ではなく民事事件として扱われるものですので、これは完全に司法書士の業務(本人訴訟支援や関西訴訟代理)となります。
もちろん、犯罪の嫌疑をかけられた人(被疑者や被告人)の側に付いてその人権を擁護する「弁護人」の立場につくことは、完全に弁護士のみに認められた業務です。
その一方で、被害者の側について、社会に潜んでいる犯罪被害を司法手続に乗せたり、犯罪被害者の権利擁護を図ることは、日本の司法制度の一翼を担う司法書士に課せられた責務でもあります。
これが司法書士の責務である根拠としては、上記のような業務が司法書士の独占業務として規定されている司法書士法のほか、総合法律支援法において「弁護士及び弁護士法人並びに司法書士その他の隣接法律専門職者」に「総合法律支援の実施及び体制の整備のために必要な協力をする」努力義務が課せられています。
というわけで、大阪司法書士会でも犯罪被害者支援対策に取り組んでいて、今日(平成25年12月1日)は、犯罪被害者週間最終日に合わせて、犯罪被害を対象とした無料電話相談会をやっています(今更ですが、告知)。
では、今日はこの辺で。
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